Autodesk Fusion では STL、3MF、OBJ 形式のメッシュデータを読み込み、ソリッドモデルに変換したり、ガイドとしてモデリングに使用することができます。
この記事では、倉庫に監視カメラ用の太陽光発電パネルを取り付けるためのコネクタのモデリングを例として取り上げ、3D スキャンデータを活用するのに便利なコマンドを紹介します。
■ 3D スキャンデータを使うメリット
倉庫の柱のようにノギスで測るには大きいものや、ノギスで寸法を取りにくい嵌め合い部分などは 3D スキャンで形状を取得することで簡単に寸法がわかります。
また、計測と設計が CAD 内で完結するため効率的に作業を進めることができます。Autodesk Fusion にはスキャンデータを取り込むだけでなく、メッシュ編集、形状からモデリングに必要なスケッチ断面を抽出するなど、リバース エンジニアリングに活用できるコマンドが用意されています。
■ Autodesk Fusion へのメッシュデータの取り込み
メッシュデータを扱うコマンドは、ツールバーの [メッシュ] から選べます。
メッシュが細かく、データが重い場合は [削減] コマンドでデータを軽くすることができます。
モデリング用に位置合わせ、データの削減ができたら一度メッシュデータをエクスポートし、新しいデザインに取り込み直してから作業を開始します。この作業を行うことで、スッキリした履歴で作業を始めることができます。
■ メッシュ断面スケッチの作成(断面輪郭の抽出)
モデリングに使用するメッシュの断面輪郭を抽出するために、抽出したい箇所に平面に作成しておきます。今回は [オフセット平面] コマンドで面がきれいな場所に平面を用意します。
[メッシュ断面スケッチを作成] コマンドを実行し、ボディとしてスキャンデータのメッシュボディ、断面として先ほど作成した平面を選択して実行します。これでメッシュ断面が抽出されたスケッチが新たに作成されます。
■ 断面スケッチをガイドにモデリング
メッシュ断面を抽出したスケッチを右クリックして、[スケッチを編集] をクリックします。
[メッシュ断面に沿って曲面を作成] というコマンドが新たに使用できるようになっています。
このコマンドでメッシュに近似しつつ、データとしてきれいな曲線を作成することができます。明らかに直交した直線部分などは通常のコマンドで線を引いて形状を作っていきます。
太陽光発電パネル側も同様にスキャンデータを取り込んで、ツメでカチっと固定できる形状を作成します。
同じデータ内で複数のスキャンデータを取り込むと重くなるので、別のデザインを作成してその中で作業をします。完成後に挿入、結合してひとつのデータにします。
■ 3D プリントして取り付け
全体をプリントする前に、この形状で取り付けに問題がないかを確認します。
形状の一部のみと重なるような四角いスケッチを用意し、押し出し、タイプを交差することで簡単に形状の一部のみを取り出すことができます。この部分のみを一旦プリントして実物との嵌め合いを確認し、必要があればモデルの調整を行います。
問題がなければ全体を 3D プリントします。今回は野外での使用となるため、耐候性の高い ABS で出力します。
倉庫の柱にぴったりと合うスマートなコネクタで取り付けができました。
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