Inventor 2027 に搭載された Autodesk Assistant は、現在テクニカル プレビューとして提供されています。実際にどこまで役立つのかを確かめるため、私は Autodesk Assistant を有効化し、実際に質問を投げかけながら試してみることにしました。
マニュアルや事前情報に頼らず、Autodesk Assistant がどのように応答するのかを率直に検証しています。本記事では、その最初の体験を通じて、うまく機能した点や課題、実際に使って感じたことを紹介します。
まずはサンプル ファイルを読み込み、とても簡単な質問をしてみました。
このモデルについて教えてください。
Autodesk Assistant は内部機能を使って解析を行い、まずモデルに関する概要情報を表示しました。
ここまでは想定どおりで、実用的な情報が得られました。しかし、その次の結果は少し予想外でした。
Autodesk Assistant は、マス プロパティが長期間更新されていないことを検出しました。これは特に大規模モデルでは見落とされやすい問題です。
この結果を見て、Autodesk Assistant が他にどのような潜在的問題を検出できるのか興味を持ちました。そこで、さらにエラーチェックを依頼してみました。
人が読みやすい説明ではなく、内部的な列挙値がそのまま返ってきた点は少しおもしろく感じました。
また、存在を把握していなかったコンポーネントまで検出されたことで、Autodesk Assistant が他にどのような情報をみつけられるのか興味が湧きました。そこで、さらに検証を続けてみました。
これらは MCP のツール呼び出しのように見えました。つまり、Autodesk Assistant が定義済みのツール インターフェースを通じて、Inventor の情報を直接参照していることがわかります。
その後、Autodesk Assistant はモデルに関するさらに詳細な情報を表示しました。
特に印象的だったのは、Autodesk Assistant が設計意図まで推測しているように見えた点です。中には驚くほど妥当な推測も含まれていました。
もちろん、これらはあくまで推測に過ぎません。しかし、初期段階の機能としては、予想以上に自然な解釈が行われていると感じました。
Autodesk Assistant の現時点での限界
私が最も期待していたのは、Autodesk Assistant が実際のモデリング作業を支援してくれることでした。理想としては、自然言語の指示によって基本的なフィーチャを作成できるのではないかと考えていました。
そこでまずは、非常にシンプルなリクエストから試してみることにしました。
チューブを作成する
返ってきた内容は、私の期待とは異なるものでした。Autodesk Assistant は図形を直接作成するのではなく、操作手順を案内できると回答し、関連ドキュメントの検索を始めました。その後、Inventor でチューブを手動作成する方法を、手順に沿って説明し始めました。
しかし、私が期待していたのはそのような操作ガイドではありません。そこで、もう一度質問してみました。すると、2 回目の回答では、Autodesk Assistant の現在の機能範囲がより明確に示されました。
利用可能なツールを使用して、アクティブな Inventor ドキュメントに実際にチューブを作成してほしいようです。
まず、現在開いている内容を確認します。
Autodesk Assistant:
get_document_info を実行中...
Autodesk Assistant:
Part 3 がアクティブなパーツ ドキュメントとして開かれていることを確認しました。ただし現在は、スケッチ、押し出し、または Inventor パーツ内のジオメトリ フィーチャを直接作成することはできません。これらのモデリング操作は、現在のツールでは利用できません。
ここで、2 つの点が明らかになりました。
ひとつ目は、Autodesk Assistant が現時点では新しいフィーチャを作成したり、図形を直接編集したりすることはできないという点です。現状の役割は、解析や確認、一部のドキュメント操作を支援することに限定されています。
2 つ目は、Inventor とやり取りする際の内部処理が、そのまま表示されていることです。"Executing get_document_info..." のようなメッセージが頻繁に表示されており、これらは MCP のツール呼び出しと考えられます。
この時点で、私が期待していた機能は、Autodesk Assistant の現在の能力を少し先回りしていたことがわかりました。現状の Autodesk Assistant は、モデリングを直接行うツールというよりも、知的な確認支援ツールとして機能しているようです。
iLogic
次に期待していたのは、Autodesk Assistant が iLogic 作成をどこまで支援できるかという点でした。
iLogic ルールは非常に便利な一方で、作成には時間がかかり、ミスも発生しやすいものです。そのため、AI アシスタントとの相性が良い分野だと感じていました。
そこでまずは、かなりシンプルな依頼から試してみることにしました。
iLogic ルールを作成する
モデリング時よりは改善されていましたが、まだ制限は残っていました。
iLogic ルールを直接作成することは、現在の能力の範囲外です。
Inventor 内で iLogic のコードやルールを作成または変更するためのツールがありません。
ただし、公式ドキュメントを通じて始めるお手伝いはできます。調べてみましょう。
モデリング機能の場合と同様に、Autodesk Assistant は iLogic ルールをドキュメントへ直接作成したり挿入したりすることはできません。この点ははっきりしています。
しかし、さらに試していく中で、重要なことがわかりました。Autodesk Assistant は iLogic ルールを直接適用することはできないものの、iLogic コード自体を生成することは可能です。ルールを依頼すると、Inventor に手動でコピー&ペーストできるサンプルコードを作成してくれます。
つまり、Autodesk Assistant はモデルやルールを自動的に変更するツールではありませんが、コード生成支援ツールとして活用できます。特に、iLogic を日常的に作成しないユーザーにとっては便利な機能と言えるでしょう。
今後の可能性
先週開催された DevCon で、Autodesk Assistant に詳しいオートデスク関係者と話す機会がありました。その方によると、Autodesk Assistant は将来的にカスタム MCP サーバーとの接続をサポートする可能性があるようです。
もし既存の update_parameter ツールと組み合わせられるようになれば、これまでにないワークフローが実現するかもしれません。
例えば、私たちの環境では、すべてのモデルで共通の標準パラメータを管理しており、社内設計基準も文書化しています。また、可能な限りパラメータベースのモデリングを採用しています。
こうした環境で、MCP サーバーが次のような情報を提供できるとしたらどうでしょうか。
- 標準パラメータに関する説明
- 社内設計ルールや運用ルールに関する情報
Autodesk Assistant がこうした情報へアクセスできるようになれば、特定の要求に対して、どのパラメータを変更すべきか、その理由も含めて判断できるようになるかもしれません。
例えば、「この製品を 1000 mm 長くする」と指示した場合、単純に寸法を変更するのではなく、適切な制御パラメータを更新する形で処理できる可能性があります。その際には、パラメータの定義や文書化された設計基準をもとに、どこを変更すべきか、逆に変更してはいけない箇所はどこかを判断することになります。
もしこれが実現すれば、Autodesk Assistant は単なる確認支援ツールではなく、設計ルールを理解した構成支援ツールへと進化することになります。
現時点ではまだ構想段階に過ぎません。しかし、標準化されたパラメータ、文書化された設計基準、そして拡張可能な Autodesk Assistant の組み合わせには、大きな可能性を感じます。
確認できた MCP ツール一覧
最後に、Autodesk Assistant から利用可能なローカル MCP ツールを整理してみました。執筆時点で確認できた内容をまとめていますが、今後さらに追加されていく可能性があります。
ComponentTools
- get_component_states - Inventor アセンブリ内のコンポーネント状態情報を取得
- set_component_state - Inventor アセンブリ内のひとつまたは複数のコンポーネント状態を変更(バッチ処理対応)
- get_referenced_components - Inventor パーツ ドキュメント内の参照コンポーネントを取得
DocumentTools
- close_document - アクティブなドキュメント、または指定したファイルパスのドキュメントを閉じる
- get_document_info - アクティブな Inventor ドキュメント、または指定したドキュメントの情報を表示
- get_all_open_documents - 現在開いているすべての Inventor ドキュメントと、その詳細情報を一覧表示
- get_document_selections - 現在選択されているオブジェクトを取得
- find_document_objects - ドキュメント内のオブジェクトを種類や名前で検索
- update_document - 古い要素を更新し、再計算を実行
- export_document_as_pdf - Inventor ドキュメントを PDF として書き出し
- export_document_as_image - Inventor ドキュメントを画像ファイルとして書き出し(BMP、JPEG、PNG、TIFF、GIF に対応)
- get_document_settings - ドキュメント設定を表示
- update_document_settings - lengthUnits、angleUnits、massUnits、timeUnits などのドキュメント設定を更新
FileTools
- open_file - Inventor ドキュメント ファイルを開く
- get_file_information - ファイルの詳細情報を表示
- get_files - 指定フォルダー内のファイル一覧を表示
MaterialTools
- find_materials - Inventor ドキュメント内のマテリアルや外観設定を検索
ParameterTools
- get_document_parameters - Inventor ドキュメント内のパラメータを表示
- create_user_parameter - 新しいユーザーパラメータを作成
- update_parameter - 既存のパラメータを更新
ProjectTools
- get_project_info - Inventor プロジェクトの情報を表示し、必要に応じてアクティブ化
PropertyTools
- get_document_properties - Inventor ドキュメントのプロパティを表示
- get_document_property_sets - Inventor ドキュメントで利用可能な iProperty セットを表示
- get_occurrence_properties - コンポーネント オカレンスのインスタンスプロパティを表示
- update_properties - Inventor ドキュメントまたはコンポーネント オカレンスのプロパティを更新
- delete_properties - Inventor ドキュメントまたはコンポーネント オカレンスのプロパティを削除
RepresentationTools
- get_representations - Inventor パーツまたはアセンブリ ドキュメントで利用可能なリプレゼンテーションを表示
- get_member_table - iPart / iAssembly / ModelState のメンバー テーブル情報を表示
- update_member_table - iPart / iAssembly / ModelState のテーブル内容を更新
- update_representation - リプレゼンテーションの作成、アクティブ化、削除、名前変更を実行
ViewTools
- set_view - カメラを標準の正投影ビューまたはアイソメトリック ビューに設定
個人ブログ・アカウント: hjalte.nl、GitHub、LinkedIn
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